今年夏に北斎作品をイギリスで展示 北斎館事務局長の英国訪問記(前編) | 信州小布施 北斎館

今年夏に北斎作品をイギリスで展示 北斎館事務局長の英国訪問記(前編)2024年2月23日

 2026年に50周年を迎える北斎館では、北斎の魅力をより世界に知ってもらうべく、海外との連携にも力を入れています。2024年7月にはイギリス東部の街・ノリッジで北斎作品の展示を予定しています。

今回は、その準備のために昨年秋、現地を訪問した北斎館事務局長・塩澤耕平さんにお話を伺っていきます。


―今回訪問されたノリッジはどんな街ですか?
塩澤:ノリッジは、ロンドンから2時間ほどの場所にあります。人口は約2014万人で、古い町並みが残る歴史ある街です。


―そのノリッジで、なぜ北斎作品を展示することになったのでしょうか?
塩澤:イギリスにはセインズベリーズという大手スーパーマーケットチェーンがあるのですが、その創業者ロバート・セインズベリーが日本の文化やアートに造詣が深く、1999年にノリッジにセインズベリー日本藝術研究所を設立しました。そのセインズベリー日本藝術研究所と連携して、この夏、ノリッジ周辺で開催予定の企画展「Japan in Norwich」の目玉の一つとして、北斎館の北斎作品を展示することになりました。


―具体的には、どんな作品を展示する予定ですか?
塩澤:7月の1カ月間、2か所での展示を予定しています。最初はウェルズネクストザシーという街で1週間ほど展示します。普段は人口23000人ほどですが、夏のバケーション期間にはその2倍の人が居住するという海沿いのリゾート地だそうです。その後は、ノリッジの元靴工場だった場所を改装したアートギャラリー The Shoe Factory を拠点に展示を行います。
 どの作品を展示するかは計画中ではありますが、今回はあえて「複製品」を展示したいと考えています。NTTアートテクノロジー社と連携して、北斎館収蔵の祭屋台天井絵のスキャンを進めていて、そうした高品質のデジタル複製画の展示を考えています。

上町祭屋台天井絵「男浪図」


―今回、あえて本物ではなく、デジタル複製を展示しようと考えているのは、なぜですか?
塩澤:今後、北斎館として、超高精細でスキャンしたデータ複製品の新しい活用に挑戦していきたいという思いがあります。今回、ノリッジで展示を行うアートギャラリーのような環境では、作品保護の観点から作品の展示が難しいんです。しかし、アートはもっと身近な存在になるといいと思っていて……。工場や公民館内のようなスペースでも、本物とほとんど違わない作品を展示できたらと考えていて、そうした意味で複製作品に可能性を感じています。
 高品質のデジタル複製の場合、高精細で、視覚的には本物に見ることに近い体験ができます。それが北斎や、北斎館のある小布施町に興味を持つきっかけになるのではと期待しています。


―デジタル複製ならではの楽しみ方が発見できそうですね! 次回のメールマガジンではインタビューの後編をお届けします。


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