綾羅錦繍!屋代南高校の生徒による北斎ファッション!2024年2月13日
約1年ぶり、ご無沙汰しています。
学芸員のNです。
最近のブログは、メルマガのご紹介が中心だったため長らく投稿を控えていましたが、ちゃんと働いています(笑)
今回はこちらの件をご紹介したくキーボードを叩きました。
そう、タイトルにもあるように屋代南高等学校の生徒による北斎ファッションです。
ちなみに綾羅錦繍(りょうらきんしゅう)は美しく着飾るという意味です。
ここ数年、生徒たちは北斎のデザインを基としたファッションを制作してきました。
最初にご縁ができたのは令和元年(2019)。
北斎の作品をファッションしたいというお話をいただいたことをきっかけに、北斎館でのファッション展示が開催されるようになりました。
それから3年連続で生徒の皆さんが北斎作品をデザインに採用してくださり、これまで20点弱の北斎ファッションが誕生しました。
令和2年度には展示に留まらず、北斎館で初のファッションショーを開催!
翌3年度もファッションショーを企画しましたが、残念ながら新型コロナウイルスの感染防止のため、当館でのショーは実施できませんでした。
ちなみにファッションショーなどの様子は北斎館Youtubeを通じてご覧いただけます。
そして1年の時を経た令和5年度、北斎館でファッションショーの開催を手伝ってくれた当時1年生の生徒が3年生となり、再び北斎ファッションを制作してくれました。
前置きが長くなりましたが、それらの作品をご紹介しましょう。
今回、生徒たちは当館の代名詞ともいえる祭屋台天井絵4面をデザインに採用しています。
東町祭屋台の天井絵「龍」をモチーフとしたファッションです。
背景の太陽を思わせる赤の着物をベースに、龍の造形を纏う凛とした姿が印象的です。
Nが知る限り、これまでの北斎ファッションは洋装が主体であり、和装による表現はなかったのでとても新鮮に映りました。
また龍(辰)は今年の干支であり、赤は魔除けの色ともされ、江戸時代には疱瘡除けに赤い鍾馗図の浮世絵が摺られたほどです。
とても縁起がよく凛々しく姿がステージに映えます。
同じく東町祭屋台天井絵より「鳳凰」をモチーフとしたファッションです。
小布施町には岩松院の「八方睨み鳳凰図」がありますので、そのミックスといったほうがよいでしょうか。
鳳凰は吉兆をもたらす瑞鳥、中国における伝説の霊鳥です。
また宮廷では王妃を象徴する生き物として敬われていました。
モチーフの鳳凰は、赤い胸羽に丸く流れるようなカラフルな尾羽が特徴です。
衣装には、それらの特徴が見事に再現され、今まさに羽を広げ飛び立とうとする優雅さがみられます。
上町祭屋台には北斎の浪の集大成といわれる2面の天井絵があります。
通称「怒濤図」と呼ばれる2面のうち、「男浪」は三方から押し寄せる鉤爪のような波濤と引き込まれるかのような蒼の渦が特徴です。
「男浪」をモチーフとしたこのファッションは、濃青を基調とした素地に美しいグラデーションの色彩が採用されています。
実は、この「怒濤図」はよく宇宙に喩えられます。
渦巻く浪と、奥へ奥へと吸い込むような表現がブラックホールのように思われたのかもしれません。
このファッションは、まさに星々が瞬く銀河を彷彿とさせるデザインです。
さらに特徴的な浪の立体造形を重ね着ることにより、大胆かつ神秘的なファッションを完成させました。
「男浪」と対をなす「女浪」のモチーフファッションです。
同じように浪の立体造形を重ね着て本作のイメージを忠実に表現しています。
ただ、こちらは黒地をベースに手足に青白のシュシュをつけ、より女浪の柔和な印象を表現しています。
両手両足のシュシュは、動くたびにまるで四方から優しく包み込む様な印象を与え、見る者に円を描く女浪のデザインを連想させることでしょう。
天井絵そのものは対照的なデザインですが、ファッションはそれぞれ製作者の個性が現れていますね。
今年度は都合上、北斎館を舞台に展示やショーが開催できず、ブログでのご紹介となりました。
北斎はかんざしやキセルなどのデザインを描き、また小紋柄の本も発行するなど、デザイナーとしての活躍も広く知られています。
そんな現代に蘇る北斎柄は以下のページでもご紹介されています。
https://www.adachi-hanga.com/hokusai/page/enjoy_25
(アダチ版画研究所「北斎今昔」HP)
北斎の作品を使ったファッションは年々増え続けています。
そのような中で、170年近い時を経て北斎とコラボした4人の若きデザイナー。
彼女たちの更なる活躍に期待したいと思います。
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