小布施と北斎Obuse and Hokusai
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江戸の浮世絵師・葛飾北斎(1760-1849)は90年の生涯で、代表作の「冨嶽三十六景」をはじめ、多くの錦絵・絵手本、肉筆画などを制作しました。
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天保13年(1842)、北斎は83歳の頃に初めて信州小布施を訪れました。そのきっかけは、幕府による天保の改革によって江戸では絵の制作が制限されたとも、地元の豪農・豪商の高井鴻山(1806-1883)の招きに応じて訪れたとも、さまざまな説があります。
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小布施では、鴻山の庇護を受け、アトリエというべき碧漪軒(へきいけん)を与えられました。二人の関係は「先生」「旦那様」と呼ぶほど親密なものでした。非常に恵まれた環境の中で、北斎は大作を残します。
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天保15年(1844)85歳で東町祭屋台天井絵「龍図」「鳳凰図」を、翌弘化2年(1845)86歳のときには上町祭屋台天井絵「男浪図」「女浪図」を手がけました。
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そして、弘化4年(1847)88歳で岩松院本堂大間の天井絵「鳳凰図」を手がけました。年老いてなお絵に対する情熱を絶やすことなく、自らの絵の進歩を願った北斎。北斎肉筆画の集大成が小布施で花開いたのです。
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注(1)年齢はすべて数え年で表記。
(2)天保15年(1844)は12月2日に「弘化」に改元。