北斎が描いた オーダーメイドの摺物2023年11月9日
北斎館で開催中の企画展「知られざる至極の木版画 摺物」も、閉幕まで残りわずかとなりました。
今回ご紹介している摺物は、一般に広く販売された浮世絵とは異なり、正月や季節の節目に仲間内で配布したり、襲名披露や唄や踊りの発表会の告知をしたりするために制作された、オーダーメイドの作品です。
三味線を畳に置き、窓枠に腰掛けた娘。その視線の先には、庭の梅の木にとまるウグイスが描かれています。その隣では、かわいらしい幼児の姿が……。絵だけを見ると、何の場面を描いたのか少しわかりづらいのですが、絵の中に書かれた狂歌に注目すると、謎が解けます。
「耳にたこができるくらいウグイスの鳴き声を聞きたい」という狂歌の内容の通り、娘はかんざしの先で耳をかいて、さらにその鳴き声を味わおうとしているようです。幼児が手にしている凧も、狂歌中の「たこ」にかけています。
同じように、梅の花や鳥が描かれた別の作品をご紹介します。梅の花が咲く、穏やかな春の川辺。柳の木にかけて張られた布の鮮やかな山吹色が印象的です。
周りを飛び回るツバメたちの姿もかわいらしいですね。よく見ると、布の模様も描かれ、細部まで丁寧に描かれています。下半分には、長唄の番組が書かれ、会主・西村三次の改名披露を兼ねた会の摺物として作られたようです。
摺物作品からは、江戸の人々の文化や様々な楽しみが見えてきます。それにしても、北斎にオーダーメイドで描いてもらうなんて、とても贅沢ですね。これらの貴重な作品群をぜひこの機会にご覧ください。
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今回ご紹介している摺物は、一般に広く販売された浮世絵とは異なり、正月や季節の節目に仲間内で配布したり、襲名披露や唄や踊りの発表会の告知をしたりするために制作された、オーダーメイドの作品です。
坪庭の鴬
三味線を畳に置き、窓枠に腰掛けた娘。その視線の先には、庭の梅の木にとまるウグイスが描かれています。その隣では、かわいらしい幼児の姿が……。絵だけを見ると、何の場面を描いたのか少しわかりづらいのですが、絵の中に書かれた狂歌に注目すると、謎が解けます。
「耳にたこができるくらいウグイスの鳴き声を聞きたい」という狂歌の内容の通り、娘はかんざしの先で耳をかいて、さらにその鳴き声を味わおうとしているようです。幼児が手にしている凧も、狂歌中の「たこ」にかけています。
同じように、梅の花や鳥が描かれた別の作品をご紹介します。梅の花が咲く、穏やかな春の川辺。柳の木にかけて張られた布の鮮やかな山吹色が印象的です。
「洗い張り」
周りを飛び回るツバメたちの姿もかわいらしいですね。よく見ると、布の模様も描かれ、細部まで丁寧に描かれています。下半分には、長唄の番組が書かれ、会主・西村三次の改名披露を兼ねた会の摺物として作られたようです。
摺物作品からは、江戸の人々の文化や様々な楽しみが見えてきます。それにしても、北斎にオーダーメイドで描いてもらうなんて、とても贅沢ですね。これらの貴重な作品群をぜひこの機会にご覧ください。
知られざる至極の木版画 摺物
▼会期:2023年9月2日(土)〜2023年11月12日(日)まで
▼開館時間:午前9時~午後5時(ご入館は午後4時30分まで)
▼入館料:大人1,000円、高校生500円、小中学生300円、小学生未満 無料
▼休館日:なし
(※臨時休館がある場合は別途ご案内をいたします。何卒ご了承くださいませ。)
▼会期:2023年9月2日(土)〜2023年11月12日(日)まで
▼開館時間:午前9時~午後5時(ご入館は午後4時30分まで)
▼入館料:大人1,000円、高校生500円、小中学生300円、小学生未満 無料
▼休館日:なし
(※臨時休館がある場合は別途ご案内をいたします。何卒ご了承くださいませ。)
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