じぃっと目を凝らしたくなる! 摺物の細やかな表現たち | 信州小布施 北斎館

じぃっと目を凝らしたくなる!
摺物の細やかな表現たち2023年10月13日

 北斎館で開催している企画展「知られざる至極の木版画 摺物」には、連日多くのお客様にお越しいただいています。今回の企画展は、いつもより絵に近づいて、じっくり時間をかけてご覧になっている方が多いような……。

 でも、それでいいのです! 摺物は、手の込んだ細かい技が光る作品が多いので、ぜひいつもより一歩近づいて、ご鑑賞ください。

 写真ではお伝えしづらいのですが、摺物作品には、様々な技法が使われています。絵の具をつけずに版木に紙を強く摺り、凹凸で模様を表現する「空摺(からずり)」や金属粉を摺ることで金や銀の輝きを表現する金銀摺(きんぎんずり)などの技法を作品の中に見ることができます。

(隅田川両岸一覧)駒形


 例えば、隅田川沿いの風景を北斎が描いたこちらの作品では、さざ波が空摺で表現されています。さらに、じいっと目を凝らすと、女性の着物や荷物、小僧が持った笹に吊り下がった小判に金摺が施されているのが分かります。

 北斎の弟子・岳亭春信の「葛飾連名数十番 漢三傑」という作品には、漢を興した劉邦に仕えた3人の人物が描かれています。それぞれの着物には銀摺や空摺で模様が描かれ、作品に華やかさを加えています。

「葛飾連名数十番 漢三傑」


 摺物作品の多くは淡い色が使われることが多く、一見地味に見えることもあるかもしれません。しかし、空摺や金銀摺のような技を凝らし、見る人を楽しませたいという作り手の思いが込められた作品でもあります。 ぜひ、細部に込められた作り手の技の数々を、作品の中に見つけてみてください。


知られざる至極の木版画 摺物
▼会期:2023年9月2日(土)〜2023年11月12日(日)まで
▼開館時間:午前9時~午後5時(ご入館は午後4時30分まで)
▼入館料:大人1,000円、高校生500円、小中学生300円、小学生未満 無料
▼休館日:なし
(※臨時休館がある場合は別途ご案内をいたします。何卒ご了承くださいませ。)

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