スペシャルインタビュー専修大学名誉教授・板坂則子先生③ | 信州小布施 北斎館

スペシャルインタビュー
専修大学名誉教授・板坂則子先生③2023年1月13日

 北斎館で昨年より開催中の企画展「絵から読み解く! 新編水滸画伝」にあわせて、江戸時代の文学文化を研究する専修大学名誉教授・板坂則子先生に聞くインタビューシリーズ。
 最後となる今回は『新編水滸画伝』の作者である馬琴と北斎の別れについてお話を聞きました。


―馬琴と北斎は、最後には挿絵に関して意見が対立し、喧嘩別れしたというエピソードを聞いたことがあります。

そういう説もあるのですが、実際には違ったのではないかと思います。
そのエピソードの後も馬琴と北斎は読本を数冊一緒に作っています。 さらに、馬琴は代表作『南総里見八犬伝』の挿絵も北斎に依頼しています。それを北斎は自分では引き受けられないと断りますが、代わりに弟子で娘婿の柳川重信を紹介しています。

―喧嘩別れというより、お互いの実力は認めつつ、別々の道を歩むことになったということかもしれないですね。

そうですね。北斎はその後、北斎漫画の制作へと進んでいます。北斎は馬琴と組んで読本の挿絵に取り組み、様々な空間や人物を描いたことで、表現の幅をぐっと広げたと思います。

『北斎漫画』九編 「小子部栖軽 豊浦の里に雷を捕」


―北斎の表現で印象に残ったものはありますか?

北斎の絵には、なるべく描きにくいものを描いてやろうという意識が感じられます。
例えば、人物も横顔で描くだけでなく、あえて斜め下から描いてみたり(笑)。今回の挿絵も、2色刷りを使ったり、見開きでページを上下に使って描いたり、「なんでも描きたい」「なんでも試したい」という北斎の意欲が伝わってきます。

―ありがとうございました! 北斎の表現への挑戦がこもった挿絵を企画展でもぜひご覧ください。


絵から読み解く!新編水滸画伝
▼会期:2022年11月19日(土)~2023年1月15日(日)まで
▼開館時間:午前9時~午後5時(ご入館は午後4時30分まで)
▼入館料:大人1,000円、高校生500円、小中学生300円、小学生未満 無料
▼休館日:2022/12/31
(2023年1月1日は午前10時から午前3時までのみ開館)
(※臨時休館がある場合は別途ご案内をいたします。何卒ご了承くださいませ。)


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