スペシャルインタビュー専修大学名誉教授・板坂則子先生② | 信州小布施 北斎館

スペシャルインタビュー
専修大学名誉教授・板坂則子先生②2023年1月8日

 北斎館で開催中の企画展「絵から読み解く! 新編水滸画伝」にあわせて、江戸時代の文学文化を研究する専修大学名誉教授・板坂則子先生に聞くインタビューシリーズ。
2回目は『新編水滸画伝』の作者である馬琴と北斎の関係についてお話を聞きました。


―『新編水滸画伝』初編を書いた曲亭馬琴はどんな人物だったのでしょうか?

馬琴は武家に生まれたのですが、経済的な理由から町人の身分を選びます。
しかし、自分の代で武家を潰してしまったことを後悔し、子や孫の代でなんとか家を復興させたいと願っていました。
しかし、当時、戯作者(江戸後期小説の作者)というのは身分が低い存在。そこで、武家も読むような理想的な小説を書き、小説自体の地位を高めようと努めた孤高の人でした。

『國文学名家肖像集』曲亭馬琴


―孤高の人という意味では、北斎のイメージにも繋がりますね。

まさにそうですね。
でも、北斎は部屋が汚くても平気だったようですが、馬琴は几帳面な性格だったようです。そんな正反対の性質をもっていても、馬琴と北斎はお互いの実力を認め合っていたようです。読本を一緒に制作していた2、3ヶ月間、馬琴は自宅に北斎を住まわせたこともありました。

―そんなに仲が深かったのですね。

馬琴は筆まめで多くの日記や書簡を残しているのですが、その中に北斎とのエピソードがいくつか出てきます。
やがて、馬琴は北斎の腕を認めつつも、「北斎は右の方に描けというと左に描くから、わざと反対に描く」といったぼやきも書かれています。

―個性の強い二人はぶつかることもあったのですね。次回は、馬琴と北斎の別れについてお話をうかがいます。


絵から読み解く!新編水滸画伝
▼会期:2022年11月19日(土)~2023年1月15日(日)まで
▼開館時間:午前9時~午後5時(ご入館は午後4時30分まで)
▼入館料:大人1,000円、高校生500円、小中学生300円、小学生未満 無料
▼休館日:2022/12/31
(2023年1月1日は午前10時から午前3時までのみ開館)
(※臨時休館がある場合は別途ご案内をいたします。何卒ご了承くださいませ。)


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