スペシャルインタビュー専修大学名誉教授・板坂則子先生① | 信州小布施 北斎館

スペシャルインタビュー
専修大学名誉教授・板坂則子先生①2022年12月9日

 北斎館で開催中の企画展「絵から読み解く! 新編水滸画伝」にあわせて、戯作(江戸時代後期の小説)を研究する専修大学名誉教授・板坂則子先生に3回にわたってお話をうかがいました。


―当時の人たちにとって、『新編水滸画伝』は、どんな読本だったのでしょうか?

中国で書かれた『水滸伝』という小説を、曲亭馬琴が当時の人にも分かりやすいよう文体を工夫しながら翻訳しました。それに北斎が挿絵をたっぷりと描き、出版された『新編水滸画伝』の初編は、人気を博しました。

『水滸伝』は、中国の北宋末期を舞台に、108人の豪傑が集結し、各地で戦いをくり広げる物語です。主要キャラクターを軸に話が進み、たくさんの登場人物たちと魔法なども使いながら戦うという形式は、現代の若者文化に通じるものがあります。

『新編水滸画伝』巻之三「九紋龍勇敢跳澗虎を擒捉」


―現代の漫画にもありそうな物語の要素ですね。

江戸時代後期は、現代にもつながる文化が生まれているのが面白いところです。
しかし残念ながら、初編を発行した版元と馬琴の間に確執が生まれてしまい、馬琴は2編以降の執筆を拒否してしまいます。2編以降は20年後に高井蘭山に著者を変えて出版されるのですが、その頃にはブームも去っていました。

―そうだったのですね。2編以降でも挿絵は北斎が担当しています。

そうなんです。
ただ、初編に比べると北斎の挿絵の数も大幅に減ってしまうんです。文章を読んでも、蘭山は馬琴ほどの腕がなかったことがわかります。
一方、馬琴と北斎はお互いの実力を認め合っていたので、初編では北斎もいきいきと腕をふるっているように感じます。

―今回の企画展では初編を中心に紹介していますが、2編以降の挿絵も展示しているので、見比べてみるのも面白そうです。次回は、馬琴と北斎の関係性について教えていただきたいと思います。


絵から読み解く!新編水滸画伝
▼会期:2022年11月19日(土)~2023年1月15日(日)まで
▼開館時間:午前9時~午後5時(ご入館は午後4時30分まで)
▼入館料:大人1,000円、高校生500円、小中学生300円、小学生未満 無料
▼休館日:2022/12/31
(2023年1月1日は午前10時から午前3時までのみ開館)
(※臨時休館がある場合は別途ご案内をいたします。何卒ご了承くださいませ。)


※こちらのコンテンツは、メールマガジンの内容を再編集してお届けしております。

北斎館からの葛飾北斎に関する特集記事、限定キャンペーンなどの情報配信を受け取りませんか?

カテゴリー:スペシャルインタビュー

メールマガジン登録e-mail newsletter

北斎館からの葛飾北斎に関する特集記事、限定キャンペーンなどの情報配信を受け取りませんか?