見比べても楽しめる！ 北斎のお仕事画たち2022年8月12日

　夏休みが始まり、北斎館には大人だけでなく、小中学生の皆さんも多く訪れていただいています。開催中の企画展「わくわく! WORK」は、江戸時代の様々な仕事をめぐる物語仕立てになっており、大人から子どもまで幅広い世代にお楽しみいただける展示です。

　中には、現代ではあまり馴染みがない仕事も登場します。例えば、北斎は『富嶽百景』二編「遠江山中の不二」で、山で木を切って働く杣人（そまびと）の様子を描いています。

『富嶽百景』二編　遠江山中の不二

　断崖にそびえる大木にぶら下がって斧をふるっている人もいます。その背後に遠くに見える富士山や空を鳥が飛ぶ様子が描かれているため、高い所で作業していることがより伝わってきますね。

　そして、山から切り出された木は材木に加工されます。「冨嶽三十六景遠江山中」では、斜めに立てかけた大きな角材を、上と下からのこぎりで懸命に挽く人たちの姿が描かれています。

冨嶽三十六景　遠江山中

　左下には、のこぎりの歯を直している職人の姿もあります。その近くには、赤ちゃんをおぶった女性も描かれています。この女性が風呂敷に包んで持ってきたのは、お昼のお弁当でしょうか。

　こちらの作品は、先ほどの「遠江山中の不二」と構図がよく似ています。山の中でいきいきと働く人々の姿を、大胆な構図で切り取った北斎のこれらの作品。ぜひ北斎館で実際に見比べてみてください。



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