北斎が描く! 不思議な空間たち | 信州小布施 北斎館

北斎が描く! 不思議な空間たち2021年11月29日

 11月20日より、北斎館では新しい企画展「北斎と不思議な空間」が始まります。いつもは絵の中心に描かれたモチーフにスポットが当たりがちですが、この企画展ではその背景に描かれた空間表現に注目します。


 例えば、『渡船山水』という作品では、北斎の想像力によって幻想的な空間が生み出されています。

渡船山水


 手前に描かれたゴツゴツとした岩の塊は、奥行きがあるようにも、高くそびえ立っているようにも見え、見る人に不思議な印象を与えます。そして、遠景に青色で描かれた山は、下の部分が省略されているため、その高さが強調されています。

 このような北斎の表現力は、春朗を名乗っていた時代から培われていきました。北斎は19歳で勝川春章に弟子入り。師匠のもとで学ぶだけでなく、他の流派の画法や海外から入ってきたばかりの技法もどんどん吸収していきます。

 北斎は西洋から入ってきた透視図法も積極的に取り入れています。今でいう遠近法を使って、若き北斎は『江都両国橋夕涼花火之圖』を描いています。

江都両国橋夕涼花火之圖


 当時は、浮世絵といえば平面的な絵が一般的な時代。この絵を見た人たちは、立体感のある空間表現に驚き、衝撃を受けたのではないでしょうか。

 この機会に空間技巧師・北斎の多彩な表現の数々をぜひお楽しみください。

「北斎と不思議な空間」
▼会期:2021年11月20日(土)~2022年1月16日(日)まで
(令和4年1月1日は午前10時から午前3時まで)
▼開館時間:午前9時~午後5時(ご入館は午後4時30分まで)
▼入館料:大人1,000円、高校生500円、小中学生300円、小学生未満 無料
▼休館日:2021/12/31

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