企画展「北斎と不思議な空間」が始まりました。その1 | 信州小布施 北斎館

企画展「北斎と不思議な空間」が始まりました。その12021年11月28日

ご無沙汰しております。

学芸員のNです。

(お気に入りの絵を担当者として勝手に採用しました)

 

展覧会は企画立案から始まり作品選定、配置や内装、原稿作成など実はたくさんのお仕事があります。

展覧会によっては更に図録を作ったり企画展に伴う外部コラボ、またオリジナルグッズの製作にまで及ぶ場合があり、現在の北斎館の企画展開催準備期間、2か月はあっという間に過ぎ去ってしまうものです。

なにが言いたいのかというと…「やっとひと息つける~~~(∩´∀`)∩、温泉行くぞ~~!」

 

・・・さてお仕事に戻りましょう。

11月20日(土)から新しい展覧会「北斎と不思議な空間」が開催されました。

本展は北斎作品の空間表現に注目した展覧会になります。

人物や静物などの絵は、基本的に主体となるモチーフに視線が集まります。

でも実際にはその背景や大気、光などあらゆる存在が複合して1枚の絵になっています。

北斎はその表現力がとても豊かで、モチーフの魅力を高めるため培った画技や摺りの技術などを駆使して巧みに表現しているのです。

 

実はこの企画、立案根拠はお客様の一言だったりします。

肉筆画に「渡船山水」という北斎にしては珍しい山水画があります。

これを見たお客様の一言「どうなっているの?崖が立っているの?」

なるほど、確かに崖の描線が強く、まるでこの形の大きな岩が地面に立っているように見えます。

実際には「渡船」とあるように下の空間は湖もしくは川があり船が浮いているのですが、そうなると崖はどのように接水しているのか、今一分かりづらいです。

見方を変え、それぞれが独立した図像と捉えたほうがすっきりするかもしれません。

ここで意識したいのが、作品をみて私たちは何かしらを感じ取り、そして考えているということです。

ちょっと哲学的になりましたが、北斎作品にはこのように観る者に対して何か働きかけるような絵が多いのです。

そしてその要因はモチーフではなく空間や構図などが大きく影響している場合があります。

ということで、今回は「不思議な空間」というテーマを設け、様々な空間表現の見せ方を示した北斎作品をご紹介しています。

 

前振りが長くなってしまいました。

今から内容について書くと大変なことになってしまいます。

内容については、改めてアップしようと思います。

これからの時期は小布施繁忙期がひと段落しますので、落ち着いて鑑賞ができるようになります。

会期は来年1月16日(日)まで。

本展は休館日(12月31日)がありますのでご注意ください。

では、次回は内容についてご紹介しましょう。

 

カテゴリー:学芸員のつぶやき

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