北斎が好んだ美人の象徴とは | 信州小布施 北斎館

北斎が好んだ美人の象徴とは2021年9月27日

 二人の遊女が着物の帯をゆるめ、ほっとひと息をつく。そんな瞬間を描いたのが『二美人』という作品です。
二人はどちらも花魁と呼ばれた高級遊女。座っている方の遊女は髪をほどき、リラックスした雰囲気が伝わってきます。

二美人


 一方、反らし気味の背から直角に首を曲げた様子は、よく見ると奇妙なポーズといえます。しかし、そんな現実離れした構図であっても全体に違和感を感じさせず、しなやかで堂々とした女性の美しさを表現し、北斎の「視覚のマジック」が効いています。

 北斎は30歳代後半から50歳代にかけて、こうした美人画をたくさん描きました。北斎が好んで描いたのは、、細身で目鼻が小さいうりざね顔の女性です。こうした美人画は、当時北斎が「宗理」という号を使っていたことにちなみ、「宗理型美人」として人気を集めました。

 『柳下傘持美人』に描かれた女性も、この宗理型美人の特徴を兼ね備えています。色白でほっそりしたうりざね顔、目や口は小さくて鼻はすらりとしています。しだれ柳の下を歩いているときに、左側に何かを見つけたのでしょうか。顔をそちらに向けています。

柳下傘持美人


 これらの北斎の貴重な美人画は、北斎館で開催中の企画展「北斎 視覚のマジックⅡ 北斎館所蔵名品展」でご覧いただくことができます。ぜひお楽しみください。

「北斎 視覚のマジックⅡ 北斎館所蔵名品展」
▼会期:2021年9月4日(土)~11月14日(日)まで
▼開館時間:午前9時~午後5時(ご入館は午後4時30分まで)
▼入館料:大人1,000円、高校生500円、小中学生300円
▼休館日:なし

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