「北斎 視覚のマジックⅡ」見どころをご紹介します!2021年9月17日
こんにちは、学芸員Nです。
ブログ3ヶ月更新が一般化した学芸員のNです。
お気づきかと思いますが、ブログには定期的に多くの記事が掲載されています。
これらは北斎館メールマガジンの内容が転用されています。
展覧会情報から、作品の説明、また関連グッズの紹介などを定期的に送信しています。
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さて、今回の本題に移りましょう。
9月4日(土)から秋の展覧会「北斎 視覚のマジックⅡ―北斎館所蔵名品展―」が開催されました。
すでに2週間近く経過していますが、まだまだ展覧会は序盤。
小布施の秋観光とともに当館にもお立ち寄りいただき、名品をご覧いただきたいと思います。
今回の展覧会はHPでも紹介しているように見どころを3つ盛り込んでいます。
一つは去年開催のパート1で展示できなかった作品を中心に北斎の作品を紹介していること。
例えば冨嶽三十六景は20点近く出ていますが「凱風快晴」「山下白雨」を除き全て一新しています。
今回は有名な神奈川沖浪裏も加え「三役」と呼ばれる代表作を一堂に展示しているのでこれだけでも貴重な展覧会になります。
もちろん冨嶽三十六景だけではなく、他の版画や版本なども刷新されています。
「浮繪一ノ谷合戦坂落之圖」は源義経の英雄譚の有名な一場面です。崖全体から突撃かと思いきや、丘陵のくぼ地を縫うように描かれています。
また「浮繪」というように本作は当時としては馴染みの薄い遠近法(透視図法)で描かれています。
摺物もほとんど一新されていますので、見たことのない作品をご覧いただけるかと思われます。
2つめは図録未掲載作品の展示です。
この「北斎 視覚のマジック」展は当館が発行する図書『北斎 視覚のマジック』で紹介されている作品を中心に展示しています。
しかし都合上掲載には至らなかったが名品が他にもあり、それらは泣く泣くお蔵入りとなってしまいました。
今回はそのような作品群も展示しています。
例を挙げましょう。
『駒組童観抄』という本は今回が初展示となりましょうか。
こちらは将棋の教科書になっています。
どのような内容かというと
はい、私は将棋に詳しくないのでよくわかりませんが、指し方の手順が載っているようです。
本題に戻り、どこで北斎が関係してくるのか?となると、実は1枚だけ北斎が挿絵を入れています。
こちらがその挿絵、実物は絵そのものが薄いため加工していますが、勉強する孟子と機織りするお母さんが描かれてます。
絵の意味が知りたい方は北斎館の展示をご覧いただくか「孟母断機」をググってみましょう。
他にも未掲載の珍しい作品がでていますよ。
最後は北斎親子と小布施を繋ぐ資料群の展示です。
今回の目玉の1つといっても過言ではないものになっています。
北斎の書状はもちろんのこと、映画「HOKUSAI」で存在感を見せつけた娘の応為(葛飾応為)の作品や書状などの展示があります。
特に寄託作品になりますが張り交ぜ屏風の「納涼美人図」(下絵)は当館では初公開になります。
残念ながら落款などはありませんが、所蔵している旧家で代々お栄作と伝えられており、また関連する文書もあるため双方をご覧いただくことにより興味深い作品となっています。
長文になってしまいました。
肉筆展示室も約1年ぶりの公開、真筆「富士越龍」を展示しています。
展覧会は11月14日(日)まで開催しています。
内容盛りだくさん、芸術の秋を彩る北斎作品をご覧ください。
カテゴリー:学芸員のつぶやき