知ればますます面白い。 摩訶不思議な物語の住人たち | 信州小布施 北斎館

知ればますます面白い。 摩訶不思議な物語の住人たち2021年8月25日

 ズドン。男が鉄砲を打ったその先には、おどろおどろしい怨霊がいる。これは、北斎が挿絵を手がけた『近世怪談霜世星』の「怨霊を撃つ伊兵衛」の場面だ。左右のページを大胆に使い、迫力満点の構図だ。


『近世怪談霜世星』怨霊を撃つ伊兵衛


ここに描かれた怨霊は、もとはお沢という女性だった。その夫である伊兵衛は、他に好きな女性ができたため、妻のお沢を疎ましく思い、自殺に追い込んだ。これを恨みに思ったお沢が怨霊になって伊兵衛の前に現れたのだ。そんなストーリーと合わせて作品を見ると、緊迫感がいっそう伝わってくる。

 北斎館で開催中の企画展「あやしい浮世絵」では、恐ろしい作品だけではなく、なごやかな雰囲気の作品も紹介している。『北越奇談』の「夜な夜な現れる山男」では、毛むくじゃらな山男が人々と一緒に囲炉裏を囲んでいる。

『北越奇談』夜な夜な現れる山男


ある夜、舛山という者が山小屋に泊まり込んでいると、山男がやって来た。山男は人間の言葉は話せなかったが、一緒に焚火にあたった。舛山は、獣の皮を着て暖をとるとよいと山男に言った。すると翌晩、山男はカモシカ2頭を持ってきたため、舛山は獣皮の作り方を教えたという。

 身の毛もよだつような恐ろしい怪談、物語に登場する摩訶不思議な生き物……様々な「あやしさ」を描いた作品の数々をぜひお楽しみいただきたい。

「あやしい浮世絵」
▼会期:2021年6月19日(土)~8月29日(日)まで
▼開館時間:午前9時~午後5時(ご入館は午後4時30分まで)
▼入館料:大人1,000円、高校生500円、小中学生300円
▼休館日:なし

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