旅に出る日を心待ちに、現代にも通ずる旅の心模様 | 信州小布施 北斎館

旅に出る日を心待ちに、現代にも通ずる旅の心模様2021年6月9日

 春といえば、潮干狩り。北斎の作品「潮干狩り」では、今を生きる私たちと変わらない人々の様子が描かれている。磯の香りが漂う海辺で、老若男女が潮干狩りを楽しんでいる。波打ち際で、はしゃぐ子どもたちの声が今にも聞こえてきそうだ。

 遠くに静かにそびえているのは富士山。にぎやかな干潟の雰囲気と穏やかな入江の様子の対比も見事だ。

潮干狩り


同じようなタッチで描かれた「東海道旅行」という作品もある。東海道の渡し場の風景が描かれ、当時の旅の雰囲気がいきいきと伝わってくる。絵の中央に見えるのは、渡し舟。そこに乗りこんだ人や舟を漕ぎ出そうとする船頭などが細かく描かれている。

東海道旅行


手前には笠をかぶり馬に乗った女性の旅人もいる。お供の人だろうか。天秤棒で荷物を運んでいる人が近くに描かれている。江戸時代はお伊勢参りや善光寺参りのために、このような女性の二人連れや三人連れが旅に出ることも多かったという。

 旅がブームであった江戸時代。人々は、旅に出る日をいつも心待ちにしていたのかもしれない。北斎館で開催中の企画展「てくてく、ふらり、のんびり 旅する浮世絵」では、当時の旅の様子がわかる作品を楽しむことができる。
ぜひご覧いただきたい。


「てくてく、ふらり、のんびり 旅する浮世絵」
▼会期:2021年4月3日(土)~6月13日(日)まで
▼開館時間:午前9時~午後5時(ご入館は午後4時30分まで)
▼入館料:大人1,000円、高校生500円、小中学生300円
▼休館日:なし

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