大胆な構図で表現された日本の名橋を辿る | 信州小布施 北斎館

大胆な構図で表現された日本の名橋を辿る2021年5月26日

 険しい山々の谷間にかかる吊り橋。雲よりも高い所にかけられたその吊り橋は、渡る人の重みで大きくたわんでいる。吊り橋から下をのぞいたら、きっと足がすくんでしまうに違いない。

 北斎は、そんな吊り橋を「諸国名橋奇覧 飛越の堺つりはし」という作品に描いた。絵の中で吊り橋を渡っている二人は山仕事の帰りだろうか。
慣れた様子で平然と歩いているように見える。スリルを感じさせる大胆な構図の一方で、空には鳥が飛び、遠くに鹿がいる様子から、のどかさも漂ってくる。

諸国名橋奇覧 飛越の堺つりはし


「諸国名橋奇覧 かめゐど天神たいこばし」は、大きく湾曲した形が特徴的な亀戸天神の太鼓橋を描いた作品だ。あまりに反り返ったこの橋を登ったとき、思わず下をのぞき込んでみたくなる人々の気持ちは、今を生きる私たちもうなずける。

橋の向こうに見えるのは藤棚。江戸郊外に位置した亀戸天神は藤の名所としても有名で、様々な浮世絵にも描かれた場所だった。

諸国名橋奇覧 かめゐど天神たいこばし


北斎が日本各地の橋の名所を描いたシリーズ「諸国名橋奇覧」の作品の一部は、北斎館で開催中の企画展「てくてく、ふらり、のんびり 旅する浮世絵」で見ることができる。
北斎が描いた各地の風景を味わい、旅の気分を楽しんでいただきたい。



「てくてく、ふらり、のんびり 旅する浮世絵」
▼会期:2021年4月3日(土)~6月13日(日)まで
▼開館時間:午前9時~午後5時(ご入館は午後4時30分まで)
▼入館料:大人1,000円、高校生500円、小中学生300円
▼休館日:なし

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