明治から昭和へ 浮世絵コレクション | 小布施 北斎館

明治から昭和へ 浮世絵コレクション2025年9月26日

 北斎館では「知られざる秀逸コレクション 東京・足立区立郷土博物館所蔵浮世絵名品展」の第4期「明治から昭和へ」を開催しています。最後を飾る第4期では、明治期に活躍した浮世絵師を中心に、大正・昭和までの作品をご紹介します。

月岡芳年
「月百姿 はかなしや波の下にも入ぬへし つきの都の人や見るとて 有子」


 こちらの作品は、歌川国芳の門人・月岡芳年による月にまつわる説話を題材にしたシリーズの1枚です。船の上で琵琶を抱えてすすりなく女性が描かれています。平安時代、厳島神社の巫女であった有子は、都に住む公家が参詣した時に恋に落ちます。その公家を慕って京都まで足を運んだ有子ですが、身分の差により会うことが叶わず、悲しみのあまり自ら海へ身を投げてしまいます。

 芳年は月そのものを描かず、水面に反射する月の光を描きました。公家が暮らす華やかな都を思わせるような儚い月の光によって、有子の切なさが際立っています。

昇斎一景「東京名所三十六戯撰 日本はし」


 こちらは、明治初期に描かれたコミカルな作品です。日本橋を渡るとき、天秤棒を担いでいた男性が油をこぼしてしまいます。こぼれた油で、人力車の車夫が滑って転び、前を行く男性に蹴りを入れてしまいました。人力車は、明治3年に日本橋のたもとから営業を開始した、明治の東京を象徴する乗り物の一つです。また、江戸時代と変わらない服装の人物と同時に、洋装の人物や煉瓦造りの建物が描かれています。新たな時代に移り変わっていく途上の様子が感じられる1枚です。

 こちらの企画展は、10月5日(日)までの開催となります。貴重な作品をぜひ会場でお楽しみください。



「知られざる秀逸コレクション 東京・足立区立郷土博物館所蔵浮世絵名品展」
▼会期:2025年5月24日(土)~2025年6月22日(日)まで
▼開館時間:午前9時~午後5時(ご入館は午後4時30分まで)
▼入館料:大人1,500円、大学生 高校生700円、小中学生500円、小学生未満 無料
▼休館日:会期中無休
※臨時休館がある場合は別途ご案内をいたします。何卒ご了承くださいませ。

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