デザイナーの目から見つめる北斎 水戸岡鋭治さんインタビュー最終回2025年5月12日
今回は、デザイナーの水戸岡鋭治さんへのインタビュー企画3回目です。
水戸岡さんには、北斎館のキッズルーム「水戸久斎」をデザインしていただきました。ご自身でイラストレーションも手がける水戸岡さんの目から見た北斎について、うかがいたいと思います。
―今回のデザインを担当される以前から、北斎に思い入れがあったとうかがいました。
水戸岡:子どもの頃から絵が好きで気がつくと描いてきたのですが、いちばん自分が好きな表現方法が線画でした。20歳前後の頃にロットリングというペンの線画の中に色を入れる手法にたどりつきました。
それは、北斎などの版画と一緒なんですよね。そこで北斎の作品を改めて見ると、見事な省略だなと思いました。圧倒的に感動したのは、波の絵でしたね。
―冨嶽三十六景シリーズの「神奈川沖浪裏」のことですね。
水戸岡:写真もない時代に、どうしてこの形を描けたんだろうって。この絵を30歳の頃に模写していました。
―模写してみて新たに気づくことがありましたか?
水戸岡:コピーすると、なぜこんな風に線を入れたのか、なぜこの色にしたのかが、自分なりにわかります。この色や構図を使うのは勇気がいっただろうと、人・事・物をよく知らないとできないことがわかってきます。
―北斎の絵は、細部まですごく細かいですよね。
水戸岡:持久力がありますよね。世界に通用する人です。ヨーロッパの絵は油絵やエッチングなど時間がかかる絵が多くて持久力があるけれど、日本の絵は短時間でできるものが多いから、どちらかというと持久力がとぼしい。しかし、北斎は新しさと懐かしさ、感性と理性、経済と文化を常に総合的に想い、考え、夢見ていたのだと思われます。
北斎は偉い殿様を喜ばせるためでなく、大衆のために楽しいものをいかに提供できるかに力を注いだ。そこがデザイナーと感覚が近くて、好きですね。
―北斎は90歳まで画業を進化させ続けました。水戸岡さんの今後のお仕事の展望を教えてください。
水戸岡:私の将来計画では、あと3年くらいで稼ぎ仕事を終えて、その後は一デザイナーとして、務め仕事をやることで色々な街とドリームデザインができればいいなと思っています。
―それはますます楽しみです。最後に、これからデザインの仕事をしたいと思っている若い世代へのメッセージをお願いします。
水戸岡:私のところに小さな子どもから「将来デザイナーになりたい」と手紙がくることがあります。その時は「勉強した方がいい」とお返事しています。勉強というより、学習ですね。何かをしたいと思ったら、たくさんのことを知らないとできません。知れば知るほど、自分のしたいことや好きなことが見つかり、好きな仕事に出会える可能性が高くなる。
人生のテーマは、好きな仕事と好きな人に出会うことです。好きな仕事に出会えば、放っておいても勉強してしまうし、やっているうちに評価してもらえる。評価されると、自由な時間をいただいて、もっと大きなステージが生まれる。だから勉強は面倒だけど、人よりたくさんのことを知るために、今は勉強しなさいって。
―お話を聞かせていただき、ありがとうございました。今後も、多くの子どもたちに、キッズルームを通して、水戸岡さんのデザインを体感してもらいたいと思います。
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水戸岡さんには、北斎館のキッズルーム「水戸久斎」をデザインしていただきました。ご自身でイラストレーションも手がける水戸岡さんの目から見た北斎について、うかがいたいと思います。

―今回のデザインを担当される以前から、北斎に思い入れがあったとうかがいました。
水戸岡:子どもの頃から絵が好きで気がつくと描いてきたのですが、いちばん自分が好きな表現方法が線画でした。20歳前後の頃にロットリングというペンの線画の中に色を入れる手法にたどりつきました。
それは、北斎などの版画と一緒なんですよね。そこで北斎の作品を改めて見ると、見事な省略だなと思いました。圧倒的に感動したのは、波の絵でしたね。
―冨嶽三十六景シリーズの「神奈川沖浪裏」のことですね。
水戸岡:写真もない時代に、どうしてこの形を描けたんだろうって。この絵を30歳の頃に模写していました。

冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏
―模写してみて新たに気づくことがありましたか?
水戸岡:コピーすると、なぜこんな風に線を入れたのか、なぜこの色にしたのかが、自分なりにわかります。この色や構図を使うのは勇気がいっただろうと、人・事・物をよく知らないとできないことがわかってきます。
―北斎の絵は、細部まですごく細かいですよね。
水戸岡:持久力がありますよね。世界に通用する人です。ヨーロッパの絵は油絵やエッチングなど時間がかかる絵が多くて持久力があるけれど、日本の絵は短時間でできるものが多いから、どちらかというと持久力がとぼしい。しかし、北斎は新しさと懐かしさ、感性と理性、経済と文化を常に総合的に想い、考え、夢見ていたのだと思われます。
北斎は偉い殿様を喜ばせるためでなく、大衆のために楽しいものをいかに提供できるかに力を注いだ。そこがデザイナーと感覚が近くて、好きですね。

―北斎は90歳まで画業を進化させ続けました。水戸岡さんの今後のお仕事の展望を教えてください。
水戸岡:私の将来計画では、あと3年くらいで稼ぎ仕事を終えて、その後は一デザイナーとして、務め仕事をやることで色々な街とドリームデザインができればいいなと思っています。
―それはますます楽しみです。最後に、これからデザインの仕事をしたいと思っている若い世代へのメッセージをお願いします。
水戸岡:私のところに小さな子どもから「将来デザイナーになりたい」と手紙がくることがあります。その時は「勉強した方がいい」とお返事しています。勉強というより、学習ですね。何かをしたいと思ったら、たくさんのことを知らないとできません。知れば知るほど、自分のしたいことや好きなことが見つかり、好きな仕事に出会える可能性が高くなる。
人生のテーマは、好きな仕事と好きな人に出会うことです。好きな仕事に出会えば、放っておいても勉強してしまうし、やっているうちに評価してもらえる。評価されると、自由な時間をいただいて、もっと大きなステージが生まれる。だから勉強は面倒だけど、人よりたくさんのことを知るために、今は勉強しなさいって。
―お話を聞かせていただき、ありがとうございました。今後も、多くの子どもたちに、キッズルームを通して、水戸岡さんのデザインを体感してもらいたいと思います。

キッズルーム「⽔⼾久斎」
▼対 象:1歳~未就学のお子様と保護者の方
▼料 金:お子様お一人につき1時間300円
(付き添いの保護者の方へは入場者カードをお渡しします。)
▼時 間:9:00-16:30まで (最終受付16:00)
※詳細はこちらご確認ください。
▼対 象:1歳~未就学のお子様と保護者の方
▼料 金:お子様お一人につき1時間300円
(付き添いの保護者の方へは入場者カードをお渡しします。)
▼時 間:9:00-16:30まで (最終受付16:00)
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