「美しい」よりも「楽しい」を求めて 水戸岡鋭治さんの大胆なカラーリング | 信州小布施 北斎館

「美しい」よりも「楽しい」を求めて 水戸岡鋭治さんの大胆なカラーリング2025年5月5日

 今回は、デザイナーの水戸岡鋭治さんへのインタビュー企画2回目です。

 水戸岡さんにデザインしていただいた北斎館のキッズルーム「水戸久斎」には、オープン以来4ヶ月間で1,000組以上の親子に利用していただき、予想を上回る反響をいただいています。今回は、そのキッズルームのデザインにまつわる裏話をうかがっていきます。


―キッズルームを体験した人たちから「北斎の世界の中に入ったみたいだ」というお声をいただきます。水戸岡さんはイラストレーションも手がけられていますが、鮮やかな着彩をほどこした北斎の作品を描かれたのが印象的でした。

水戸岡:今回、北斎の絵が描けなくて悩みに悩んで3ヶ月かけて描きました。

―北斎の絵を横に置いて、写されたのですか?

水戸岡:トレースしてから、もう一度自分で上から描き起こしました。北斎になりきって理解して、自分の線で描くことがテーマなので、どこまでいっても北斎とは違います。私はロットリングで描いているので線の太さが均一ですが、北斎の絵を見ると筆の返りがたくさんあります。それを真似してようとしているけれど、全然描けない。北斎が天才なのだとただただ感じただけです。


―今回は黒い線で描いてから、鮮やかな色で着彩していただいたのですね。

水戸岡:子どもたちに北斎の絵を見せるとき、経年変化した色ではなくて、刷り上がったときの色を見せないと理解も感動もしません。だから、色を鮮やかにしてわかりやすくしたいと思いました。

―今回の色の取り合わせは、まさに水戸岡さんらしさが光る鮮やかなものでした。色をつけることへの水戸岡さんの思いをお聞きしたいです。

水戸岡:私は根本的に「美しさより、楽しさ」を求めています。楽しいためには、モノクロよりカラーがいい。自然界はカラーです。それを表現するには、光をいっぱい感じながら、いかに原色を使うかが大事です。原色を使うのは難しくて、派手だと言われることもあります。でも、派手だけど心と身体で本当に心地いいという色を求めて、まだ使っていない新たな色の組み合わせを探しながら色の世界を旅しているのです。


―すでにある配色パターンのルールを超えていくということでしょうか?

水戸岡:ルールを勉強すると影響されてしまうので、自分で難しい色と難しい色をどう組み合わせたらいいかを考えていきます。すると、どんどん色やデザインのボキャブラリーが増えていく。デザインは、色や形、素材についてたくさんの言語をもたないと表現できないと思っています。

―ぜひ多くの方にキッズルームを通して、カラフルで楽しく、心地いい北斎の世界を体験していただきたいと改めて思いました。次回は、北斎への思いについて、さらにうかがっていきます。

キッズルーム「⽔⼾久斎」
▼対 象:1歳~未就学のお子様と保護者の方
▼料 金:お子様お一人につき1時間300円
    (付き添いの保護者の方へは入場者カードをお渡しします。)
▼時 間:9:00-16:30まで (最終受付16:00)
※詳細はこちらご確認ください。

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カテゴリー:スペシャルインタビュー

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