水戸岡鋭治さんにきく、 最高のデザインのつくり方 | 信州小布施 北斎館

水戸岡鋭治さんにきく、 最高のデザインのつくり方2025年4月25日

 JR九州の「ななつ星in九州」の車両や駅舎など、多彩なデザインを手がけてきた水戸岡鋭治さん。その水戸岡さんが、2024年にオープンした北斎館のキッズルームのデザインを引き受けてくださいました。完成したキッズルームは、水戸岡さんらしい鮮やかな色に着彩された北斎の作品が目をひき、子どもにも大人にも大好評です。
 今回は、その水戸岡さんにデザインとアートについてお話をうかがいました。

水戸岡鋭治さん
(撮影:白鳥真太郎)


―水戸岡さんはご自身でイラストレーションも手がけられていますが、デザインとアートを分けて考えていらっしゃるのでしょうか?

水戸岡:私はデザイナーなので、アーティストではないですね。大きくいえば、アーティストは自分の考えや思いを表現しますが、デザイナーは人が考えたり望んだりしているものを取材して、正しく理解し、翻訳・通訳し、色・形・素材に置き換える代行業です。

―なるほど。デザイナーの場合は、主体がお客さん側にあるのですね。
水戸岡:そうですね。与えられた条件で、ヒト・コト・モノ・時代が重なっていいものができます。それが、人から評価されれば、芸術だと言われることもあるけれど、アートを求めて仕事をしている訳ではないです。いつもプロとして「最高の常識」を散りばめたものを作りたいということが一番ですね。


 私は77歳です。デザインを知ってから約65年になりますが、いまだに毎回、右往左往して悩んでいます。


―水戸岡さんでも、毎回悩まれているのですね。デザインの場合、時間や予算など、発注者による制約もあります。

水戸岡:高いレベルのクオリティを求められると、成長します。デザイナーは、リーダーとの出会いを求めているものです。

私の中でリーダーの定義は、常に新しいことを追い求めていること、そして人のためになること。この2つをちゃんと持っている人がリーダーであれば、時代を捉えた目標設定があり、与えられた予算とスケジュール、クオリティのガイドラインが作られるし、その中で僕らは自由に走ることができる。そうすると、結果的にいい仕事が生まれます。

―リーダーの存在が仕事の質を左右するのですね。

水戸岡:リーダーの中には、私たちには見えてないことまで見えている人がいます。高い志をもつ人は、遠くまで見えている。そういう人に出会うと、自分も一緒に成長する。知らないうちに引っ張り上げてもらえます。最高の人との出会いが、自分の人生を決めていきます。そのためには、普段から全力で仕事をしていないと、そうした人にめぐりあった時に豊かなコミュニケーションやエネルギーの交換が起きないと思っています。

―水戸岡さんの仕事論についてもおうかがいできてうれしいです。次回は、完成したキッズルームについてお話をうかがいたいと思います。


キッズルーム「⽔⼾久斎」
▼対 象:1歳~未就学のお子様と保護者の方
▼料 金:お子様お一人につき1時間300円
    (付き添いの保護者の方へは入場者カードをお渡しします。)
▼時 間:9:00-16:30まで (最終受付16:00)
※詳細はこちらご確認ください。

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カテゴリー:スペシャルインタビュー

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