「斬新!北斎Colors」のおはなし2021年3月4日
ご無沙汰しております。
学芸員のNです。
ブログをみると前回更新が1月???
ということで現在開催中の「斬新!北斎Colors」についてちょっとお話を。
3月28日(日)まで開催している本展は、文字通り色をテーマとした展覧会です。
開場を墨絵のブース、淡彩のブース、そして濃厚かつ鮮やかな錦絵にわけて着色の有無や顔料、色調などにより北斎のデザインがどのように感じ得られるかをご紹介する内容となっています。
とはいえ、目玉となるのは「北斎ブルー」の異名となるベロ藍を使った「冨嶽三十六景」などの多色摺版画が中心になります。
全般をみてもらうとわかるのですが、それぞれ本当に色の感じ方・捉え方が違うんです!
日本は高温多湿の環境から絵画作品の保存にあまり適していないと言われています。
実際に今回、退色した作品も展示しています。
こちら「岩井半四郎」の役者絵になりますが、着物の色彩は本来は青なんです。
露草からとった青だと思われ、時代とともに退色し、一見するとモノクロの墨絵みたいになっています。
そう考えると、現在日本に残されている作品は、とても良い環境下で保管されてきた作品なんだなと思います。
脱線しました。
浮世絵版画の歴史は、実は色彩の歴史でもあったりします。
菱川師宣によって浮世絵版画が確立されましたが、当時は技術的にも白黒の墨絵が限界でした。
するとそこに赤い顔料が加えられるようになります。
これが「紅絵」と言われるもので墨絵に1枚1枚絵具を塗っていく、版画だけど手の込んだ作品でした。
その後「紅摺絵」と呼ばれる複数枚の版木を使った赤を主体とする版画が誕生し、更に発展して錦絵と呼ばれるものが完成します。
色の歴史とともに北斎の作品を「色」に意識をおいて見ていただければと思います。
また今回は、屋代南高等学校ライフデザイン科の生徒が北斎作品をオマージュして制作した衣装も展示しています。
色彩も鮮やかで肉筆画「菊図」の衣装は黄色でかわいらしく、諸国瀧廻り「木曾路ノ奥阿弥陀ヶ瀧」は青と白でスタイリッシュにまとめています。
町内岩松院の天井絵「八方睨み鳳凰図」はシックな色調で鳳凰のデザインを強調する作品となっています。
生徒たちはこの3月、母校を卒業しそれぞれの進路に進みました。
彼女たちのこれからの活躍に期待です。
今回は、これくらいにして次回はもう少し専門的なお話をしてみたいと思います。
またお付き合いください。
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