お福 | 信州小布施 北斎館

お福2018年3月28日


ぷっくりとした頬に丸くて低い鼻、小さい目がなんとも可愛らしい「お福」。
右手には神楽鈴(かぐらすず)、左手には御幣(ごへい)を持っています。
衣服は、草色の大袖、緋色の長袴を着て、その上に草木で編んだ袖なしを羽織っています。

この服装は普段のものでなく、神が宿るときの衣装です。なぜこのような姿をしているのでしょうか。

そもそもお福は日本神話の「天鈿女命(アメノウズメノミコト)」がモチーフで、
天岩戸に隠れた天照大神(アマテラスオオミカミ)を外に誘い出すために、
熱狂的な踊りを披露したことから、神楽(かぐら)の祖神とされています。

さらに天鈿女命は、「鎮魂の神」「芸能の祖神」として、芸事をはじめ、
縁結び・夫婦円満の秘訣に霊験あらたかとして信仰されています。

この作品は『伝神開手北斎漫画 五編』(文化13年〈1816〉刊行)の一図「天臼女命」
とほぼ同じ図柄になっています。

北斎はこのような故事や伝説などを題材によく絵を描いています。

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