北斎と不思議な空間Exhibition
2021.11/20(Sat)~2022.1/16(Sun)
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【会期】 | 2021年11月20日(土)~2022年1月16日(日) |
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【入館料】 | 大人1,000円、高校生500円、小中学生300円、小学生未満無料 |
【休館日】 | 2021/12/31(2022年1月1日は午前10時から午前3時までのみ開館) |
この展覧会は、葛飾北斎が描く空間表現に注目し、様々な演出が盛り込まれた北斎の不思議な世界観を楽しんでいただく展覧会です。 葛飾北斎は森羅万象を描く絵師として数多くの人気作品を生み出し、日本を代表する浮世絵師として名を残しました。それは物事を写実的にとらえるだけではなく背景や構図など、空間に独特の表現を含ませ、見るものに斬新な世界観を示したからにほかなりません。風や光といった不可視の自然現象ですら巧みに表現し、絵具や墨の濃淡を利用して空間を装飾することにより絵全体の魅力を高めたのです。 このような北斎独特の表現力は、春朗を名乗る周作期から培われてきました。若くして勝川春章に弟子入りし、師風を学ぶと共に他の流派の画法や海外の技法を驚くべき速さで吸収していきます。ある時は西洋の透視図法を活用して「江都両国橋夕涼花火之圖」や「浮繪一ノ谷合戦坂落之圖」など、当時としては珍しい奥行きのある浮世絵作品を描き、ある時は大和絵の画法である「すやり霞」(水平方向に流れる雲もしくは霞)を学び、「琉球八景」などの風景版画における空間装飾に大いに活用しました。「東海道名所一覧」などの鳥瞰図は限られた画面に常識に囚われず、自由な発想力をもって描かれた北斎の空間表現を特徴づける作品といえるでしょう。また版画に限らず『椿説弓張月』などの伝奇読本は、迫力ある背景描写や墨の明暗をうまく利用した挿絵が人気を博し「絵入読本此人より大いに開けたり」(『増補浮世絵類考』)と評されるほどでした。 北斎が描く作品の中にはリアリティ溢れる作品がある一方、空間表現を利用した誇張的・幻想的な作品も数多く、今日では北斎作品の魅力の一部になっています。空間の技巧師・北斎による不思議な作品の数々をお楽しみください。