

2025年5月24日(土)→10月5日(日)
24 May (Sat) - October October (Sun) 2025
概要Overview
1986年の開館以来、⾜⽴区ゆかりの歴史・美術資料の発掘と収集に尽⼒されている⾜⽴区⽴郷⼟博物館には、1000点を超える浮世絵版画のコレクションが収蔵されています。松⽅三郎旧蔵品を中核としたこのコレクションは、初期浮世絵の奥村政信に始まり、錦絵の創始者鈴⽊春信や歌麿、北斎、広重、といった⼈気絵師、さらには明治期の⼩林清親にまで⾄る広範なものです。また、現代でも⼈気の⾼い歌川国芳の名品や近年注⽬を集める⼩原古邨の作品などが含まれる稀少性・先⾒性もこのコレクションの⼤きな魅⼒の⼀つでしょう。本展ではこの秀逸コレクションの全貌を4期に分けてご紹介します。

- English
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Hidden Gems: Ukiyo-e from the Collection of the Adachi City Museum
Introduction
Since opening in 1986, the Adachi City Museum has been dedicated to the discovery and collection of historical and artistic materials associated with Adachi City. Today, its holdings include more than a thousand ukiyo-e prints. Centered on items formerly owned by Matsukawa Saburō, the wide-ranging collection begins with early ukiyo-e artist Okumura Masanobu, covers popular artists like Suzuki Harunobu (who pioneered full-color nishiki-e), Utamaro, Hokusai, and Hiroshige, and extends even to artists of the Meiji period such as Kobayashi Kiyochika. The rarity and vision of the collection, which includes masterworks by Utagawa Kuniyoshi, who remains popular today, and Ohara Koson, whose work has been drawing notice in recent years, are key aspects of the collection’s appeal. The full breadth of this collection will be introduced across four exhibition periods.
鑑賞のポイントHighlights
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⼈気作品から希少な作品まで
⾜⽴区⽴郷⼟博物館の浮世絵コレクションの魅⼒の⼀つはその多様さです。時代も絵師の流派も様々な作品で構成されるコレクションには、歌川広重の「名所江⼾百景 ⻲⼾梅屋鋪」のような⼈気作品や、まだまだ知られていない絵師の希少な作品も存在します。美⼈画、役者絵、⾵景画、おもちゃ絵などテーマも様々な作品の中からぜひ気になる作品を⾒つけて下さい。
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4会期全作品を展⽰替え
本展では4期とも全作品を⼊れ替えて、⾜⽴区⽴郷⼟博物館の充実した浮世絵コレクションをご紹介します。会期ごとに内容が全て変わりますので繰り返しご来館いただいてもお楽しみいただけます。半券のご提示でリピーター料⾦でご⼊場いただけます。(⼤⼈1,000円/⼤学⽣・⾼校⽣500円/⼩中学⽣無料)
第一期 初期から歌麿まで 5月24日(土)〜6月22日(日)

第一期 鑑賞のポイントHighlights
第1期は、役者絵と美人画が比較的多く
お楽しみいただける会期になっています。
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奥村政信「鍾馗」
奥村政信は、浮世絵の開祖・菱川師宣に私淑して絵を学んだと考えられている初期の浮世絵を代表する浮世絵師の一人です。本作は、本展の展示作品の中で最も早い時期の作品です。
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磯田湖龍斎「雛形若菜の初模様 あふぎや内 夕はゑ」
こちらの作品は、磯田湖龍斎の代表作「雛形若菜の初模様」というシリーズの中の1点です。遊女の豪華なファッションや流行の髪型を細かく描く点が特徴的なシリーズで、この図では扇屋の夕ばえという遊女が描かれています。梅模様の着物や、髪を飾る櫛の細部まで楽しめる見ごたえのある作品です。
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勝川春章「市川団十郎」
勝川派の開祖で、北斎のはじめの師匠としても知られる勝川春章は、役者絵の分野に重要な足跡を残しています。歌舞伎役者の顔の特徴を捉えて描き出した春章の役者絵は、江戸の人々の心を捉え、それ以後の役者絵のスタンダードを変えてしまうほどの影響を及ぼしました。
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喜多川歌麿「隅田川舟遊夜景」
喜多川歌麿による大判三枚続の作品です。隅田川の船遊びを描いたもので、さすがは歌麿と感じさせる人物の描写や、遠景の光と影の表現など、見ごたえのある作品です。第1期では門弟の二代歌麿の作品も充実しています。
展示作品Exhibition works
展示作品一覧はこちら第二期 栄 之・北 斎・英 泉 6月28日(土)〜7月27日(日)

第二期 鑑賞のポイントHighlights
第二期は、美人画を中心に葛飾北斎「冨嶽三十六景」などの風景画もお楽しみいただけます。
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葛飾北斎
「冨嶽三十六景 隅田川関屋の里」足立区立郷土博物館は、葛飾北斎の代表作「冨嶽三十六景」の中でも、足立区にゆかりのある作品を所蔵しています。本作は、関屋の里を描いた作品です。
馬を走らせる人の動きに沿って、手前から奥に視線を巡らせると、画面の中心に描かれた松の木が目に入ります。さらに、その松の枝の向こうに富士山が見えるという鑑賞者が画中に入り込んでいくような工夫のある構図です。3頭の疾駆する馬が画面全体にリズミカルな印象を与えています。 -
葛飾北斎
「冨嶽三十六景 武州千住」こちらもタイトルに千住とあるとおり、千住の地を描いた作品ですが、描かれているのは、江戸四宿の一つである千住宿の賑わいではなく、馬を引く農夫や釣り人のいる牧歌的な風景です。遠く富士山まで見渡す開けた構図に、水門の堰枠がアクセントを加え、広い空やベロ藍のブルーが画面全体に爽やかな印象を与えています。
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鳥文斎栄之「二美人図」
鳥文斎栄之は、旗本の家柄から浮世絵師になったという珍しい経歴の持ち主です。長身で気品のある女性像が栄之の美人画の特徴です。本作では、縦に長い画面の中に二人の女性が描かれています。立ち姿の女性が花魁の描かれた錦絵を手に持って、座っている女性に見せているようです。
第二期の展示では、一楽亭栄水、鳥高斎栄昌など、栄之の門人たちの作品も展示されます。 -
溪斎英泉「傘持美人」
本作は、掛物絵とも呼ばれる大判2枚を縦につなげた構成の作品で、雪に傘をさす芸者の全身が画面いっぱいに描かれています。
溪斎英泉は、つり上がった切れ長の目を持つ独自の美人画様式を確立した絵師です。その妖艶で存在感のある人物表現が英泉の大きな特徴です。
展示作品Exhibition works
展示作品一覧はこちらスペシャルコンテンツSpecial Contents
展示を10倍楽しむためのポイント
北斎館開館50周年記念事業である、特別展「知られざる秀逸コレクション 東京・足立区立郷土博物館所蔵浮世絵名品展」について、
開催に至った経緯や見どころなど、担当学芸員が語ります。
本展開催の経緯とは?

⾜⽴区⽴郷⼟博物館所蔵 浮世絵コレクションについて
⾜⽴区⽴郷⼟博物館には、松⽅三郎旧蔵品を中核とした多様な浮世絵版画のコレクションが収蔵されています 。 松⽅三郎(1899−1973)は、⼤正から昭和にかけて活躍したジャーナリスト・実業家であり、戦後には共同通信社や⽇本放送協会で要職を務めるなど、メディア界において重要な役割を果たしました。⽗は明治の元勲・松⽅正義で、国⽴⻄洋美術館設⽴の契機となった「松⽅コレクション」の収集家・松⽅幸次郎は兄にあたります。
三郎も⽂化に深い造詣を⽰し、⽇本⺠藝協会の会⻑を務めるなど、その活動は多岐にわたりました。学⽣時代には、『⽩樺』の同⼈メンバーと親しく交流し、なかでも画家・岸⽥劉⽣とは深い友情で結ばれていたことが知られています。
特別展「知られざる秀逸コレクション
東京・足立区立郷土博物館所蔵浮世絵名品展」全体の見どころについて
まず、多様な浮世絵作品に触れられることが見どころの一つです。足立区立郷土博物館の浮世絵コレクションは、初期から、幕末、明治、大正、昭和と幅広い時代の作品で形成されており、様々な浮世絵師の作品が揃っています。この足立区立郷土博物館の浮世絵コレクション全体をまとめてご紹介するのは、初めての機会になるだろうと思います。
もう一つは、歌川広重や、葛飾北斎といった人気絵師の作品だけでなく、まだ知られていない浮世絵師の貴重な作品も展示されることです。有名作品から「知られざる」名品まで、一同にお楽しみいただけます。

貴重なコレクションの数々を、
ぜひこの機会にお楽しみください。
作品は全て足立区立郷土博物館蔵
イベントEvents
特別講演会
7月20日(日)13:30~
場所:北斎館映像ホール
講師:小林優先生
(足立区立郷土博物館 学芸員)
参加無料(要入館券)
講談師 宝井琴梅先生
小布施北斎講談会
8月30日(土)13:30~
場所:北斎館映像ホール
料金:1500円(企画展料込み)/
先着申し込み20名
出演者・演目:
田辺一記 先生:
「歌麿・写楽・北斎を育てた蔦屋重三郎」
宝井琴凌 先生:
「曽祖父は吉良の家臣・小林平八郎」
一龍斎貞奈 先生:
「本所七不思議」(講談リポート)/ 映像・遠山智土 先生
宝井琴梅 先生:
「北斎と高井鴻山の出会い」
チケット
ご購入はこちら
信州小布施 北斎館The Hokusai-kan Museum
長野県上高井郡小布施町大字小布施485
485 Obuse, Obuse-machi, Kamitakai-gun, Nagano-ken 381-0201
TEL: 026-247-5206 FAX: 026-247-6188
開館時間/Hours |
午前9時~午後5時(ご入館は午後4時30分まで) |
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入館料/Admission |
大人1,500円/大学生 高校生700円/小中学生500円 |
駐車場/Parking |
北斎館東町駐車場 (普通車専用) 北斎館駐車場(北斎館に隣接) |
アクセス/Access |
●電車ご利用の場合 ●車でお越しの場合 ●By train ●By car |