
第一期 初期から歌麿まで 5月24日(土)〜6月22日(日)
第一期 鑑賞のポイントHighlights
第1期は、役者絵と美人画が比較的多く
お楽しみいただける会期になっています。
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奥村政信「鍾馗」
奥村政信は、浮世絵の開祖・菱川師宣に私淑して絵を学んだと考えられている初期の浮世絵を代表する浮世絵師の一人です。本作は、本展の展示作品の中で最も早い時期の作品です。
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磯田湖龍斎「雛形若菜の初模様 あふぎや内 夕はゑ」
こちらの作品は、磯田湖龍斎の代表作「雛形若菜の初模様」というシリーズの中の1点です。遊女の豪華なファッションや流行の髪型を細かく描く点が特徴的なシリーズで、この図では扇屋の夕ばえという遊女が描かれています。梅模様の着物や、髪を飾る櫛の細部まで楽しめる見ごたえのある作品です。
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勝川春章「市川団十郎」」
勝川派の開祖で、北斎のはじめの師匠としても知られる勝川春章は、役者絵の分野に重要な足跡を残しています。歌舞伎役者の顔の特徴を捉えて描き出した春章の役者絵は、江戸の人々の心を捉え、それ以後の役者絵のスタンダードを変えてしまうほどの影響を及ぼしました。
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喜多川歌麿「隅田川舟遊夜景」
喜多川歌麿による大判三枚続の作品です。隅田川の船遊びを描いたもので、さすがは歌麿と感じさせる人物の描写や、遠景の光と影の表現など、見ごたえのある作品です。第1期では門弟の二代歌麿の作品も充実しています。
展示作品Exhibition works
展示作品一覧はこちら第二期 栄 之・北 斎・英 泉 6月28日(土)〜7月27日(日)

第二期 鑑賞のポイントHighlights
第二期は、美人画を中心に葛飾北斎「冨嶽三十六景」などの風景画もお楽しみいただけます。
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葛飾北斎
「冨嶽三十六景 隅田川関屋の里」足立区立郷土博物館は、葛飾北斎の代表作「冨嶽三十六景」の中でも、足立区にゆかりのある作品を所蔵しています。本作は、関屋の里を描いた作品です。
馬を走らせる人の動きに沿って、手前から奥に視線を巡らせると、画面の中心に描かれた松の木が目に入ります。さらに、その松の枝の向こうに富士山が見えるという鑑賞者が画中に入り込んでいくような工夫のある構図です。3頭の疾駆する馬が画面全体にリズミカルな印象を与えています。 -
葛飾北斎
「冨嶽三十六景 武州千住」こちらもタイトルに千住とあるとおり、千住の地を描いた作品ですが、描かれているのは、江戸四宿の一つである千住宿の賑わいではなく、馬を引く農夫や釣り人のいる牧歌的な風景です。遠く富士山まで見渡す開けた構図に、水門の堰枠がアクセントを加え、広い空やベロ藍のブルーが画面全体に爽やかな印象を与えています。
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鳥文斎栄之「二美人図」
鳥文斎栄之は、旗本の家柄から浮世絵師になったという珍しい経歴の持ち主です。長身で気品のある女性像が栄之の美人画の特徴です。本作では、縦に長い画面の中に二人の女性が描かれています。立ち姿の女性が花魁の描かれた錦絵を手に持って、座っている女性に見せているようです。
第二期の展示では、一楽亭栄水、鳥高斎栄昌など、栄之の門人たちの作品も展示されます。 -
溪斎英泉「傘持美人」
本作は、掛物絵とも呼ばれる大判2枚を縦につなげた構成の作品で、雪に傘をさす芸者の全身が画面いっぱいに描かれています。
溪斎英泉は、つり上がった切れ長の目を持つ独自の美人画様式を確立した絵師です。その妖艶で存在感のある人物表現が英泉の大きな特徴です。
展示作品Exhibition works
展示作品一覧はこちら第三期 歌川派の全盛 8月2日(土)〜8月31日(日)

第三期 鑑賞のポイントHighlights
幕末を彩った歌川派。広重の風景画から国芳の名品、おもちゃ絵までバラエティ豊かな会期です。
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三代歌川豊国「隅田乃蛍狩」
幕末の浮世絵界で隆盛を極めた歌川派の中でも、三代歌川豊国は当時大人気の絵師で、多くの作品をのこしました。本図は、蛍の飛び交う隅田川のほとりで納涼する人々が描かれています。涼しげな浴衣姿のこの人々は、特徴的な顔で描かれており、歌舞伎役者の似顔であることがわかります。お酒を飲んだり、煙管を持ったり、思い思いに納涼を楽しむ人々の様子が生き生きと描かれています。
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歌川国芳
「竹沢藤次 独楽の化け物」ぎょっとするような大きな顔。極端な陰影法を用いてまつ毛まで描きこまれた不気味な顔が画面左上からぬっと現れています。西洋の描法を学び積極的に取り入れた歌川国芳の技と奇想が遺憾なく発揮されています。背景には仁王像が倒れる墓場、井戸や破れ提灯からは怪しい火が上がっています。その中で扇を広げてポーズを決める男性。もう片方の手には羽子板を持って、その上に独楽が回っています。なんともシュールな一図ですが、実は曲独楽と呼ばれる見世物の様子を描いた図です。現存例の少ない本図のなかでも足立区立郷土博物館所蔵本は状態の優れた名品です。
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歌川広重
「名所江戸百景 亀戸梅屋舗」第3期で最も充実した作品が見られるのが、風景画の名手・歌川広重です。「名所江戸百景」は、119図の名所絵(二世広重落款の1図を含む)と目録をあわせて全120枚からなる、歌川広重の晩年を代表する大シリーズ。本図は、亀戸にあった梅屋敷の様子を描いています。梅の樹木を画面手前に配置し、伸びやかな枝ぶりの向こうには梅園と花見客の様子が見えます。春らしい緑色の地面と赤い空が馥郁たる梅の香に満ちた梅屋敷の様子をより印象的に演出しています。ポスト印象派の画家、フィンセント・ファン・ゴッホが模写したことでも広く知られる一図です。
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歌川芳藤
「かざり立て 川中嶋大合戦之図」歌川国芳門人の芳藤は、おもちゃ絵の分野でとりわけ活躍しました。本図は、組み上げ絵や立版古と呼ばれる種類のおもちゃ絵で、はさみで切り取ったパーツを組み合わせて、物語の場面を立体的に作るものです。川中島の合戦をテーマにした本図では、上杉謙信と武田信玄のパーツがあり、完成すると合戦の様子がジオラマのように出来上がります。当時の子どもたちの遊びの様子を知ることができる貴重な作品です。
展示作品Exhibition works
展示作品一覧はこちら第四期 明治から昭和へ 9月6日(土)〜10月5日(日)

第四期 鑑賞のポイントHighlights
第四期は、芳年、清親、古邨、注目を集める近代の絵師の作品を一堂に展示いたします。
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月岡芳年
「東京自慢十二ヶ月 八月 廿六夜」旧暦七月の二十六日の夜、月が出るのを待って拝む、二十六夜待という風習がありました。描かれているのは、二階座敷から月を眺める一人の女性。団扇であおがなくても涼しい夜風が吹いているようで、風鈴や行灯の房飾りが揺れています。明治時代らしい鮮やかな赤や紫の着物に目が向きますが、水平線に施された、紫色のぼかし摺りや、髪を結ぶ紐の青いグラデーショに注目すると、芳年の洗練された色彩感覚がさらに際立って感じられそうです。
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昇斎一景
「東京名所三十六戯撰 日本はし」昇斎一景は、明治のはじめに滑稽な戯画や名所絵を描いた詳細不明の浮世絵師。図の中では、こぼれた油に滑った人力車の車夫が転んでしまい、乗客の女性は放り出されそうになっています。さらに転んだ車夫の足が旅姿の男性にぶつかる事故も起きていて、隣の男性は頭に手を当てて呆れています。この一瞬の出来事を見た洋装の男性は大きな口をあけて驚いている様子。明治時代を象徴する乗り物である人力車が巻き起こす騒動の一幕が、滑稽に、また生き生きと描かれています。
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小林清親「大川岸一之橋遠景」
第4期で最も多くの作品が展示される小林清親は、光と影に強く関心を寄せた明治期を代表する絵師です。描かれているのは、夜の隅田川沿い。輪のような光を放つ明るい満月が、川辺を走ってゆく人力車を照らしています。もともとは幕臣だった清親の作品には、江戸から東京へと変わってゆく町並みへの深い眼差しが感じられます。朝、夕、夜、晴天、雨上がりなど、時間や天気によって変わる風景の表情を捉えた清親の木版画は、江戸時代までの名所絵とはまた異なる情趣を備えています。
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小原古邨「柘榴と鸚鵡」
小原古邨は、版元の渡邊庄三郎とともに新版画に取り組んだ近年注目を集める画家です。様々な作品が含まれる足立区立郷土博物館の浮世絵コレクションですが、その多様さと先見性を象徴する画家のひとりともいえるでしょう。黒い背景に赤いザクロの実と白いオウムが描かれています。黒一色に見える背景は、ざら摺りと呼ばれる摺跡を出す技法で表情豊かに摺られ、オウムの羽には空摺りが施されています。木の枝の質感まで表現する摺りの技術をぜひ会場でお楽しみください。
展示作品Exhibition works
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信州小布施 北斎館The Hokusai-kan Museum
長野県上高井郡小布施町大字小布施485
485 Obuse, Obuse-machi, Kamitakai-gun, Nagano-ken 381-0201
TEL: 026-247-5206 FAX: 026-247-6188
開館時間/Hours |
午前9時~午後5時(ご入館は午後4時30分まで) |
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入館料/Admission |
大人1,500円/大学生 高校生700円/小中学生500円 |
駐車場/Parking |
北斎館東町駐車場 (普通車専用) 北斎館駐車場(北斎館に隣接) |
アクセス/Access |
●電車ご利用の場合 ●車でお越しの場合 ●By train ●By car |