2025年10月11日(土)→12月7日(日)
11 October (Sat) - 7 December (Sun) 2025
概要Overview
生涯何万点もの絵を描いたという北斎は、凄まじい描写力の持ち主だ。同時に鋭い「目」の持ち主でもある。 北斎は宝暦十年(1760)江戸本所割下水で生まれた。絵の才に秀でていた北斎は、天保5年(1834)に刊行された『富嶽百景』の跋文(あとがき)に、六歳の頃から絵を描いていたという言葉を残している。幼い頃から絵を描くことが好きだった北斎は、身近にある草花、動物などを観察し、スケッチしていたのだろう。
北斎が描く動物や植物は、今にも動き出しそうなほどの躍動感と生命力に満ち溢れている。天めがけて伸びる草木や、風を受けた花びらや葉、水中を素早く動き回る魚、勢いよく駆けまわる駒。北斎は動植物が見せる一瞬の動きや表情さえ自身の目を通し掴み取ることができる絵師だった。
彼はまた、渦巻く雲や、矢のように勢いよく降り注ぐ雨、雲間を駆け抜ける雷などの天気や光にも目を向け、貪欲に描いた。版本作品に見られる、富士の裾野を走る稲妻、爆発によって弾き起きる凄まじい閃光の表現は、モノクロ作品であるものの、思わず目を覆いたくなるような眩しささえ感じさせる。
それだけでなく、北斎は建造物のスケッチも意欲的に行った。寺社仏閣、武家屋敷、商人が行き交う魚河岸や茶屋など、建築物の細部に至るまでとことん描いた。その狂いのないデッサン力、描写力には驚かされるが、それも北斎のものを捉える鋭い「目」の賜物だろう。
特に北斎が描く水の姿は、他の絵師よりも群を抜いていた。彼の代表作である錦絵「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」や、版本『冨嶽百景』中の「海上の不二」に見られるような砕ける波の表現は、まるでカメラのシャッターを切ったかのように一瞬の動きを画面に閉じ込めた、強烈な印象を与える作品だ。作品の中に描かれた水を追えば、とどまる事を知らないそれを己の目で追い続けた北斎の執念さえ伝わってくる。
この展覧会であなたもきっと口にしてしまうことだろう。
「北斎の目はなんという目だ!」
- English
-
What an Eye!:The World as Hokusai Saw It
Introduction
An artist said to have produced tens of thousands of images during his lifetime, Hokusai was endowed with staggering powers of depiction and the keenest of eyes.
Born in Edo’s Honjo Warigesui district in Hōreki 10 (1760), Hokusai was an artistically gifted child. In the afterword to One Hundred Views of Mount Fuji, published in Tenpō 5 (1834), he writes that he began drawing at around the age of six. Fond of drawing from an early age, he no doubt carefully observed and sketched plants, animals, and other subjects near at hand.
Hokusai’s portrayals of plants and animals are so full of dynamism and vitality that they seem they might leap from the page at any moment. Grasses and trees reaching toward the sky, flower petals and leaves caught in the wind, fish darting in the water, and horses galloping briskly—Hokusai was a painter capable of capturing even the most fleeting of movements and expressions with his own eyes.
He also turned his insatiable appetite for painting to weather and light, depicting roiling clouds, rain pouring down like arrows, and lightning that steaked across the sky. The flashes of lightning that race across the base of Mount Fuji and bursts of light that accompany explosions in his block-printed books, despite being black and white, are so dazzling that a viewer might instinctively seek to shield their eyes.
Moreover, Hokusai also energetically pursued the sketching of architecture—temples and shrines, samurai residences, bustling fish markets and teahouses—exhaustively capturing every detail. His flawless draftsmanship and powers of depiction are astonishing, and the fruit of his gift for seeing things clearly.
Hokusai’s depictions of water, in particular, are in a class of their own. The breaking waves seen in works such as the famous “Under the Wave off Kanagawa” from the Thirty-Six Views of Mount Fuji series or “Fuji from the Sea” from One Hundred Views of Mount Fuji capture ephemeral moments and leave an indelible impression. The flowing water seen in such works conveys a sense of Hokusai’s relentless drive to capture its unending motion with his own eyes.
This exhibition is sure to leave you thinking, “What a keen eye Hokusai had!”
鑑賞のポイントHighlights
-
北斎の⽬には爆発と崩壊が
こう⾒える!ドカン!ぐらぐら、ガラガラ、ズシン!そんな⾳や、体を揺さぶる振動さえ感じられそうな本図は、宝永4年(1707)に起きた富⼠⼭の噴⽕に伴う災害を描いたものだ。⼀夜にして出来上がった「宝永⼭」の出現を、あえて⼭の姿を描かずに、崩壊していく家屋や⼟煙で表現している。⼈間では到底敵わない⾃然界の⼤きな⼒と恐怖を感じさせる作品だ。
-
北斎の⽬には
⾵と雲がこう⾒える!強烈な突⾵に惑わされる⼈々。⾶ばされまいと⼈々は⾝を屈め、強⾵を受けた⽊も⼤きくしなっている。⾵に⾶ばされた懐紙や菅笠が、空⾼く煽られ⼩さくなっていく様⼦が、強い印象を与える⼀枚。
同じシリーズの波の動きの⼀瞬をとらえた「神奈川沖浪裏」と並んで、⾃然界に起こる現象の⼀瞬の姿を映し取った作品として、海外でも⼤きな評価を受けている作品である。
-
北斎の⽬には
光と影がこう⾒える!暗く雲がかった富⼠の裾野に、ピカッと⾛る稲妻を描いた⼀枚。
中腹より上には⻘空が広がっており、富⼠がいかに⾼い⼭であるかを感じさせる。
北斎は版画作品を初め、版本、⾁筆画の中にも⼀瞬にして鋭い光を放つ稲妻の姿をよく描いた。
雷鳴が轟く直前に雲間から放出される電気の筋を、北斎は逃すことなく⽬に焼き付け、絵に落とし込んだのだ。
画⾯右には、⼤きくそびえ⽴つ不⼆の姿。
その麓にはもくもくと怪しげな⿊雲が湧き⽴っている。
麓の村に吹く⾵は強くなりはじめ、家屋の茅葺き屋根を揺らしている。
画⾯左上から伸びる線は、天からの落雷。
直線を繋ぎ合わせたような⾯⽩い描き⽅で、
⼀瞬の光の屈折を表現した。
-
北斎の⽬には
⽔がこう⾒える!渦潮で有名な鳴⾨海峡の波の様⼦を描いた1ページ。
⼤⼩さまざまなかたちの渦波は、互いにぶつかり合い形を変えながらまた渦巻く。
右ページには切り⽴った岩が描かれており、鋭い岩肌の様⼦を筆先を跳ねさせたような筆致で表現してるのが印象的だ。
無限に繰り返される波と波の衝突、そして形の変化を、北斎は映像を記録するように⾃⾝の⽬でとらえていたのだろう。
『今様櫛キン雛形』(今様櫛キセル雛形)は、櫛職⼈、キセル職⼈のために描かれたデザイン集だ。
これらは、同作中にある⽔や波のデザインもモチーフにした櫛のデザインで、⾵を受けて揺れる波濤や、渦巻く波、打ち寄せる波など、さまざまな⽔、波の姿を収録している。これだけ表情豊かな波を描くことができるのは、北斎の⽔に対する鋭い観察眼があってこそ。
イベントEvents
[ワークショップ]
北斎館×SAKE ART LAB.
特別企画
ほろ酔いで 北斎気分!
個々にキャンバスと絵の具を使って、北斎の代表作である
「冨嶽三⼗六景神奈川沖浪裏」を描く創作ワークショショップです。
| 開催日 | 2025年10⽉26⽇(⽇) |
|---|---|
| 会場 | 北斎館内を予定 |
| 時間 | 14時〜16時 |
| 募集 ⼈数 |
12⼈ |
| 参加 資格 |
対象年齢10才以上。当⽇は⾝分証をお持ちください。 当⽇お酒を飲まれる⽅はお⾞でのご移動はおやめください。 |
| 参加費 | ⼀⼈3,500円(当⽇受付時にお⽀払いください) |
| 募集 期間 |
10⽉11⽇(⼟)10時より受付開始(定員に達し次第受付終了) |
学芸員による
ギャラリートーク
| 開催日 | 1回⽬10⽉19⽇(⽇)/ 2回⽬11⽉9⽇(⽇) 上記⽇程以外にも随時開催される場合があります。 |
|---|---|
| 会場 | 北斎館展覧会場内(集合場所:映像ホール前廊下) |
| 時間 | 14:00~(1時間程度) |
| 参加費 | ⼊館券をお持ちの⽅はどなたでもご参加いただけます 参加無料 |
チケット
ご購入はこちら
信州小布施 北斎館The Hokusai-kan Museum
長野県上高井郡小布施町大字小布施485
485 Obuse, Obuse-machi, Kamitakai-gun, Nagano-ken 381-0201
TEL: 026-247-5206 FAX: 026-247-6188
開館時間/Hours |
午前9時~午後5時(ご入館は午後4時30分まで) |
|---|---|
入館料/Admission |
一般 1,200円 / 高校生・大学生 500円 / 小中学生 300円 |
駐車場/Parking |
北斎館東町駐車場 (普通車専用) 北斎館駐車場(北斎館に隣接) |
アクセス/Access |
●電車ご利用の場合 ●車でお越しの場合 ●By train ●By car |

