北斎先生の絵をテーマ別に見てみよう①

「ほととぎす聞く美人読書」

ほととぎす聞く美人読書

湯上がりの女性が草双紙を手にくつろいでいます。

草双紙は、江戸中期に数多く出版された絵と文字が半々くらいの読み物です。浴衣の胸元は大きくはだけ、帯はゆったりと結び、いかにもリラックスした様子。

女性の上を飛ぶほととぎすは、5月中頃に南方からわたってきて日本に夏を告げます。

その鳴声は「特許許可局」または「てっぺん欠けたか」と聞き取れます。この女性も草双紙をめくりながら、夏を告げる声に耳を傾けているのかもしれません。

 

 


北斎先生の絵をテーマ別に見てみよう① 美人画編

白拍子

北斎先生の描く絵の題材はさまざまな種類があります。

美人画や役者絵でその名を上げ、「冨嶽三十六景」では風景画ブームを起こします。

伝説の人物や架空の生き物に想いを馳せ、庶民の暮らしに目を注ぎ、大自然に生きる動植物をはじめ、あらゆるものを描いてきました。

そんな北斎先生の絵をテーマごとに見ていきます。

 

 

 


宗理様式で描く典型的な美人

柳下傘持美人

北斎先生が勝川春章に弟子入りし、勝川春朗の画号で浮世絵界にデビューしたのが安永八(1779)年、20歳のこと。

以降15年間にわたり役者絵や美人画を中心にその名を高めていきます。
35歳のとき、勝川派を離れて俵屋宗理を名乗ると「宗理様式」といわれる独特の美人画を確立します。

北斎先生の描く女性は瓜実顔といって、瓜の種のように白くて面長な顔に、小さな目とおちょぼ口。身体つきはすらりとして背が高く、不自然とも思われるほど首を傾けているのも特徴的です。

「柳下傘持美人」は、そんな宗理様式の代表作です。しだれ柳の下、すぼめた傘を手に高下駄を履いた遊女が歩いています。落ち着いた色合いも含めて、雨上がりのしっとりとした雰囲気をよく表しています。

 


変化していく着物の描線

八朔太夫

白い着物をまとった「八朔太夫」は、遊郭の吉原で旧暦八月一日に行われた道中での姿です。
「八朔」は八月朔日の略で、朔日は月の一日目のこと。稲の穂が実りはじめるのに合わせ、各地で豊穣を祈る祭が行われます。

この絵を描いたのは先生が葛飾北斎を名乗るようになった40代の頃。
「灯籠鬢」という左右に張り出した髪の透け具合や、帯と着物の模様を細かに表現しつつ、着物の描線を勢いよく直線的に、そして力強く描いています。

北斎先生60代、為一を名乗った頃に「白拍子」を描きます。
義経の子を身ごもった静御前が源頼朝の追手につかまり、恋人の義経を思って舞う様子を描いています。
静御前のまとう狩衣の細かくちりちりとした独特の描線は、衣服の質感を伝えます。
その繊細な表現は、悲恋を貫いた静御前の心情をも表しているようです。

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